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G.15.5 プレストレス/ポストストレスメンバー荷重

構造物中のメンバーはプレストレス荷重を受けることがあり、その荷重に対して構造物中の荷重分布を調べることができます。メンバー内のプレストレス荷重は、軸方向に作用するか偏心して作用します。始点ジョイント、中間部、および終点ジョイント位置で偏心を与えることが可能です。これらの偏心は、ローカルy軸においてのみです。正の偏心は、正のローカルy方向にあります。偏心はローカルy軸でのみ与えられるので、角形特性を与えるときやメンバー座標系を回転させるときに正しいBETA角を設定する必要がある場合には注意が必要です。2つのタイプのプレストレス荷重の設定が有効です。2つのタイプとは、荷重効果が構造物の残りの部分に伝達されるPRESTRESSと荷重効果を荷重の作用するメンバーのみが受けるPOSTSTRESSです。
  1. ケーブルは、一般化された放物線の特性を持つと仮定されます。放物線の式は次のように仮定されます。

    y = ax2 + bx + c

    意味
    a
    =
    1/L2 (2es - 4em + 2ee)
    b
    =
    1/L (4em - ee - 3es)
    c
    =
    es
    es
    =
    メンバーの始点でのケーブルの偏心(ローカルY軸)
    em
    =
    メンバーの中央でのケーブルの偏心(ローカルY軸)
    ee
    =
    メンバーの終点でのケーブルの偏心(ローカルY軸)
    L
    =
    メンバーの長さ
  2. 始点と終点でのローカルx軸(メンバーの始点と終点を結合する直線)に対するケーブルの勾配角は小さく、それは次の仮定の上に成り立っています。

    sinθ = θ = dy/dx

    故に、ケーブルの軸力をPとすると、端部での軸力の鉛直成分は、P(dy/Dx)であり、ケーブル力の水平成分は次の式で与えられます。

    P[1 - (dy/dx)2]1/2

    ケーブルがこの要求を満足することを確かめることをお勧めします。5度未満の角度が推奨されます。

  3. 等価荷重法を使用して、プレストレス/ポストストレスの効果に対してメンバーが解析されます。この方法は、プレストレスト下のコンクリートの解析と設計に関する著名な本によくまとめられています。等分布荷重の大きさは、次のように計算されます。

    udl = 8⋅Pe/L2

    意味
    P
    =
    ケーブルの軸力
    e
    =
    (es + ee)/2 - em
    L
    =
    メンバーの長さ
  4. ケーブル内の力は、メンバーの長さにわたって同じであると仮定されます。摩擦やその他の消失を考慮したケーブル力の低減はありません。

  5. STAAD.Proで使用されるMEMBER PRESTRESSという用語は、次の条件を意味しています。構造物がまず建設され、プレストレス力が当該メンバーに作用します。結果として、メンバーは変形し、端部の条件に依存して力が構造物の他のメンバーに伝達されます。言い換えると、"PRE"は、応力が作用するときを基準にして、メンバーが構造物へ配置されるときを示しています。

  6. STAAD.Proで使用されるMEMBER POSTSTRESSという用語は、次の条件を意味しています。まず、そのような荷重の作用するメンバーが工場で作成されます。それに続いて、プレストレス力がそれらに作用します。その間に、構造物の残りの部分が建設地に建設されます。そして、プレストレスを受けるメンバーが持ち込まれ、部分的に建造された構造物に配置されます。このシーケンスにより、プレストレスの効果は、プレストレス下のメンバーのみが"受けて"、構造物の残りの部分には伝達されません。言い換えると、"POST"は、応力が作用するときを基準にして、メンバーが構造物へ配置されるときを示しています。

  7. 上記の項目(6)から明らかなように、ポストストレスを受けるメンバーのポストストレスの効果に対する端部の変位を計算することは不可能であり、そのためその変位はゼロと仮定されます。結果として、中間断面の変位(SECTION DISPLACEMENTコマンド参照)は、初期JOINT COORDINATESによって定義されているように、メンバーの始点ジョイントと終点ジョイントを結合する直線を基準にして測定されます。